河合さんは いつ頃から糸を紡いでいるのですか。
ワシャーね、中学生の時から じいさんの手伝いをしとったデョー もう長いワネー。

糸になるまでの工程で一番大事なことは何ですか。
まず、棉だね。

いい棉を見分けるコツは何ですか。
ウーン こまったな、長年の勘と見分ける眼だろうネ。
ワシの手和紡糸は、棉10kgだと 半分以下の4〜5Kgしか出来ないんだ。 本当にいい棉だけが糸になるんだ。
この仕事もワシラの代で終わってしまうけど、世間の人に本当の棉の良さを解ってもらいたいな。
ワシは、このガラ紡の機械を 何度も改良してやっと完成したんだ。 ガラ紡を発明した臥雲辰致さんの墓参りも何度もしたしネ。
うちの人はネ、夜中でも思いつくと機械を改良していたんですョ(奥様)。
ガラ紡は、くず糸を布にするという 世間の概念を本当に変えたかったんだ。
土屋さん、がんばっておくれ、本当にいい糸を作るデョー。

河合さんの手和紡糸は、甘撚りなので 布にするには本当に苦労します。手織りでも かなり熟練した人か、又は、かなり古い織機でないと織れませんからネ。
そうだネー。今の高速織機では とても無理だネ。それにネ、紡績糸は左撚りだが、ワシの糸は右撚りになるダネ。

でも甘撚りの糸だからこそ、空気を含んで 軽くて 冬暖かく 夏は透湿性があって 一年中着ることが出来るんですよネ。
そのとうりだネ。
皆さんが欲しがっている糸は、綿がもっている柔らかな肌ざわりと 人のぬくもりが伝わるものでなくてはならないでヨー。

私は この手和紡糸で織った布を似肖布(あやかりふ)と名付けて販売しておりますが、テーマは “一日を四季に着る”という事です。
日本には四季があり、又、一日のうちでも昼間は暖かくても朝晩は寒いという日もあります。
そんな 日本の気候風土を一言で言い表した 言葉です。
なるほどネ。ワシの糸は ずいぶんと手間をかけて作っとるデ、一般の紡績の糸と比べてもらやぁ違いがすぐわかるデ、身に付けてもらやぁ もっと良くわかるデ。